活動の中で子どもが集中した後、正常化へ向かう子どもの姿を発見したモンテッソーリは、集中できる環境を整えることの重要性を説きました。
穏やかで、思いやりがあり、明るく正しい事を喜ぶ正常化された子どもとは、誰もが望む人間像です。
その人格を形成する為のお仕事に必要なのが、環境作りです。
環境には、物質的なものと精神的なものがありますが、今回は新学期に向けて教師がお部屋を構成するにあたり、
どのようなことに気をつけ、それが実際子どもたちの変化にどのように繋がっていったかについて述べながら、環境の大切さをお伝えいたします。
子どもが「お仕事(作業)がしたい」と思える要因には、自分の事は自分でしたいという強い自立心があります。
そのためには、お部屋の中にある教具は全て子どもにあったサイズのものが用意されなければなりません。
また、ひとり一人の子どもの要求にすばやく答えられる場所に教具が置かれ、持ち運びし易い状態になっている事が大切です。
作業中は互いの活動が自由にまた、静かに行なわれるよう、他人の迷惑にならずに、活動が出来る広さも必要になります。
教師たちは、以上の様な点に気を配りながら、教具を右や左へと動かしながらお部屋作りを致しました。
以下は環境の変化に子どもたちがどう反応したか、職員で話し合った内容です。
・ 水物の活動がしやすいように蛇口までの子どもの動線を考えたクラスは、「以前よりスムーズに子どもが動けて楽しそうです」
・ 鏡を、トイレ脇の壁に吊るしたクラスでは、「トイレの後、身支度を鏡を見て一人で整えています」
・ ピアノの前に線上歩行の線を引いたクラスは、 「線の上を何も持たずに自分からゆっくり歩いています。自分自身の体をコントロールするって難しいですね」
・ ピンクタワー(感覚教育の寸法の教具)をお部屋に入ってすぐ見える場所に置いたクラスは、「以前よりよく子どもが触るようになりました」
・クラスの中に明るい光が入るように棚を低めにセッティングしたクラスは、「子どもたちも開放的な雰囲気になりました」 等、
様々な意見が交わされました。
環境を整える。整然として秩序だった状態を作ることは、子どもをよりよく援助して行く上でとても大切です。
また、子どもが活動に集中する為の要因である「選ぶ」という行為も、秩序のある環境において初めて可能になります。
教師の環境への配慮が子どもの助けになる事が実証された新学期、心新たに日々環境作りに励みたいと思います。